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通常のインプラント治療では、インプラント体を埋入してから歯肉を縫合して、数カ月後には人工歯を装着することになります。しかし、抜歯即時インプラントは、インプラント埋入手術と同時に仮歯を装着する方法です。
抜歯をして時間が経過すると、歯がない部分は刺激がなくなり、骨吸収といって骨が痩せる現象が起こります。抜歯即時インプラントでは、この骨吸収が起こる前にインプラント体を埋入するので、骨造成をおこなうことは少なくなるのです。
抜歯即時インプラントの大きなメリットは、抜歯窩(抜歯した孔)にインプラント体を埋入できるため、その部分の創傷治癒力(治ろうとする力)を利用して、インプラント体と骨の接合が早まることです。これによって、治療期間は短くなります。また、歯肉切開なども基本的にはおこないませんので、痛みなども軽減できる可能性があります。
抜歯即時インプラントのデメリットは、治療できる条件が限定されることです、骨の量が十分であるか、持病はないか、など十分に検討をして適応になるかを歯科医師が判断します。
通常は抜歯をしてから、炎症が収まって手術をするというのが基本となります。ですから、抜歯即時インプラントは、難易度が高い手術だということに間違いはありません。どの歯科クリニックでも実施しているわけではないので、十分な調査が必要です。
抜歯即時インプラントは、まず抜歯の手術から始めます。多くの場合、歯冠部(歯の表に出ている部分)は損失していて、歯根部を抜歯することになると思います。抜歯が終了したら、用意しておいたインプラント体を埋入していきます。このとき、埋入角度などに気をつけておかないと、初期固定が得られないこともあります。このような部分がこの手術の難易度の高い部分です。埋入後に状態によって仮歯を入れられる場合もあります。
この研究では、抜歯即時法を採用した22名の臨床的統計をおこなっています。部位別埋入数は,下顎臼歯部 11 本、上顎前歯部に 10 本、上顎臼歯部 6 本、下顎前歯部に 2 本埋入しました。部位別残存率は、上顎前歯部で 100%、上顎臼歯部 100%、下顎臼歯部 90.9%、下顎前歯部 100%となり、総残存率は 96.6%となっています。既出の論文によれば、抜歯即時インプラントの適応条件としてはあごの骨が3~5ミリ程度あり、歯槽骨が十分にある場合や、先天性欠損による骨吸収や根の内部吸収があった場合とされています。今回調査した症例も、概ねそれらの条件に当てはまっていると思われます。
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